同級生

2005年1月28日 読書
久しく日本人作家の小説には手を出しておらず、
(2年近く・・・やばい)
とにかく、何か読むことにした。
大学時代はわりと読んでいたのに、
この遠く離れてしまった距離は一体何なんだろうか。
とにかく。

小さな本棚スペースに所狭しと、並べきれずに
積まれてある本に手を伸ばすまでは、
漱石の「三四郎」を読むのだろうと思っていた。
でも、なぜかふと思い出して、手に取ったのが
「同級生」下田治美著。

大学の時に古本屋で170円(値段が見開きに書かれてる)
で買った本。
読みながらものすごく引き込まれた。
そんな本だった、ように記憶している。
でも内容を思い出すことができないくらい時も経ったので、
ここいらでもう一度読むことに。

そうだ。そうだった。
読みながら思い出す。

女の嫉妬やプライドが、
三つの短編小説の中でぐろいまでに描かれていて、
それはもう笑っちゃうくらいの徹底振り。

特に一話目の「ザ・クィーン」は、
嫉妬に駆られた牧子の言動やら、
マンション住人の主婦の人間模様やらが滑稽なまでに
”生き生き”と描写されていて、
昼ドラ枠に持ってこいって感じのお話。

二話、三話はずばり女の幸せがテーマ。
「脱主婦」して自分の才能を信じ、
作家志望から自分の本が出版されるまでになった
里代の孤軍奮闘振りは、
たとえ里代の人間性に問題があって、
好感の持てるような人柄ではないと分かった後でも、
応援したくなるほどに懸命で、
会社の若い女の子の夜間大学の入学祝に
豪快に財布の中の現金全て、8万7千円をそのまま贈り、
また不倫関係の恋人が離婚してくれれば
彼を養うことを厭わないまでの経済力をつけた圭子もまた、
たくましい。

でも、
どちらも話の結末には暗い影を残す。
そこに、自立する(もしくはしようとしている)女性の
行き詰まる問題が在るのだと言わんばかりに・・・。

この本が出版されたのはもう10年以上も前だけれども、
今で言う「負け犬」の構図に近いものは見える。

女の幸せって、
何なんだろうね。。。

大学の時にはこんなこと考えたことなかったな。
少なくとも、この本を読んだ時にこんなこと思わなかった。
そもそも「女の幸せ」の言葉の意味が分からなかった。
幸せに男も女もあるかーって。

でも今は・・。

幸せに男も女もあるもんか。

ちなみに、文字を追う速さや文章を理解するのに難を感じたのは、
やはり国語力の衰えでしょうか・・・。
漢字と平仮名の変換の仕方が癖があるように思えて、
そのせいだと思いたいのだけど、
でも前に読んだ時にはそんなこと問題にならなかったってことは、
そうか・・。

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